「悪」が似合わない君と。


しばらくして流石に仕事をしに外へ向かうことにした

人気のない廊下を並んで歩く


「ミスコンで一気に有名になったんじゃねぇの?お前」

「そうですかね。どのクラスも4人ずついるのでいっぱいいますよ」

「でもお前ダントツだったぜ」

「ほ、ほんとですか」

「ああ」




う、て、照れる

ちょっとさっきからこの人おかしい


話題を変えよう話題を



「あ、武内くんも!」


もう1人いたじゃないか!


「あ?」

「武内くんもすごいかっこよかったですよね!」

「武内?ああ、あいつか」


そうだ武内くんもすごかった!


「武内くんギリギリまで緊張してて、ガタガタだったんですよ。
でも武内くんすごいよかったですよね!実はですね!始まる前に武内くんに自信持ってって話をしたんですよ!そしたら武内く…」


「トンボ」


え?

不意にリュードーさんの手が私の頬に触れた


「武内武内うるさい」


へ…

リュードーさんの方を向かされる


そして


唇に


柔らかい感触


目の前にはリュードーさんの綺麗な顔


私の目はきっと限界まで開かれている


しばらくして顔が認識できる距離になる


「リュードー…さん?」


「…おあいこ」


おあい…こ?


……





かあああああっ!


思い出した私はきっと音が鳴るくらい一気に顔を赤くしただろう


わ、わ、わすれてぇぇえ!


「リュードーさん!!!!」

「あっはははは!おこんなってトンボー!」


もう!リュードーさん!!


なんて思いながらも

リュードーさんの目一杯笑った顔をみてしまえば

まあいっかって思えちゃう私は重症だ


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