「悪」が似合わない君と。
そして文化祭もひと段落付き
閉会式が始まった
なんかほんと色々あったな今日1日
夏兄さんはくるし、ミスコン出るし、リュードーさんには……
や、やめよ思い出すのは
「一位取れるかな」
「どうだろうな」
みんなザワザワし出す
リュードーさんはクラスの男子の塊に紛れていた
こう見るとやっぱ普通の男子高校生だなぁ
そんなことを考えながら見ていたら、ちょうど後ろを向いた武内くんと目があった
びっくりしたみたいに目を丸くした武内くんに思わず笑みが溢れた
武内くんも笑い返してくれた
もし…メガネという壁を壊さなかったからきっと私は今とは全然違う気持ちでここにいるんだろうな
制服のポッケに入ったメガネにそっと触れた
『それでは!発表します!クラス出し物順位第一位は!』
如何にもなドラムロール
1年2組、1年2組!(美花は1年2組)
周りのクラスメイトも両手を握ってぶつぶつ言っている
『2年3組です!』
あちゃああああああ
ダメだったかぁ
みんなも悔しそうに首をひねるのが見えた
「うわあ残念だったね」
「行けると思ったんだけどねぇ」
「あのクラス凄かったから」
自然と隣にいたクラスの女の子が笑いかけてきた
「残念でしたね」
「ほんとね!」
何気ない会話を交わす
私にとってはそれですら珍しくって
やっぱり壁なんていらなかったんだなあって
今日何度も実感する
『おめでとうございます!それでは続けて準優勝の発表です!準優勝は、』
ドコドゴドコドコドコドコ
1年2組!1年2組!
『1年2組!!』
!?
お!!
おおおおおお!!!
クラスメイトの歓声が響く
おお!すごい!三年生も二年生も抑えて準優勝だ!!!
「やったああああ!」
「うっそ!やったあ!」
隣の子が私の手を取って飛び上がった
「やったね!篠瀬さん!!」
「うんっ!!」
目一杯の笑顔で応えた