「悪」が似合わない君と。



林くんが銀メダルをもらって高々とかがけた


「おおおおおおお!」

「いえええええええ!」


盛り上がるクラスメイト


なんだろうこんなにも嬉しいもんなんだな


緩み切った頬に触れた


「それでは続きましてミスコン、ミスターコンの優勝者を発表します。女子生徒一人、男子生徒一人、選ばれます。呼ばれた人は壇上に上がってください」


…なんだろう


なんでか緊張する


「篠瀬さん」





私の肩に手を置いた隣の子


「絶対篠瀬さんだって」

すると便乗して周りの子も寄ってきた

「私も私も!そう思うよ!」

「ほんとにすごかったんだから自信持って」


「あ、ありがとう…」


私の肩に手を置いたままみんなで発表を待つ


不思議だな


ちょっと前の私だったら信じられなかったよ


ミスコンにでて、みんなで緊張してるなんてさ



『ミスコン・ミスターコン優勝は……』


ドコドゴドコドコドコドコ


『なんと!両方とも同じクラス!1年2組
篠瀬美花さんと武内晴人くんです!!』


!!!


わあっと歓声が上がる


「ほらあああ!言ったでしょ!篠瀬さん!おめでとう!」

「さっすが!もうわかってたけどね!」

「おめでとう!!」


状況を飲み込めず放心状態だった私を揺する女の子たち

「篠瀬さん!」



するといつの間にやってきたのか武内くんが目の前にいた

「行こう!」


そう言って私の手を引き走り出した

歓声の中を走り抜ける


「やったね篠瀬さん!僕、君と一緒に取れてほんとに嬉しいよ!」

手を引きながらそんなことを言われた

ようやく状況を飲み込み始めた私は思わず今日何度目かの笑みを溢す


「私もだよ!武内くん!」


壇上に上がるとキャーキャー声が聞こえた


「篠瀬サーーン!!」

「武内くーーん!」

「スキー!」

壇上の上からリュードーさんの姿を探す


「手繋いでるぅ!!」

「きゃー!めっちゃお似合いじゃん!」

「押せるカップル」

へ?

自分の手を見るとさっきのまま武内くんが私の手を握っていた

「あ、武内くん、手!」

「へ?…あ!!」

武内くんはかあっと赤くなって手を離した

「おおお!」

男子の冷やかす声が聞こえる


『はいはい!リア充イベントじゃありませんよ!』

司会に妨げられやっとの事で表彰が終わった


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