「悪」が似合わない君と。
『悪』が似合わない君と。


戻ってくるとクラスメイトたちが迎えてくれた


「おめでとう!二人なら取ってくらると思ったよ!」

「いやもうダントツだったから!」

「二人ともおめでとう!!」


みんなから向けられる暖かい視線に思わず頬が緩みっぱなしだ

こんなに生きた心地のする充実した日は初めてかもしれない

文化祭万歳!!

そんな思いを込めて目一杯笑った


「みんな!ありがとう!」





片付けが始まって武内くんと私はセットでダンボールを運ぶ係になった

二人は頑張ってくれたからこれだけでいいよって言われて

段ボール運び終わったら仕事は終わり


ほんといいクラスだなー


「篠瀬さん」

「ん?」

「あの、本当にありがとうね。多分僕、君がいなかったら怖気付いてあんなステージ歩けなかったと思う」

「どういたしまして。でも武内くんの才能がないとこんな賞取れないよ?」

「でも、ほんと、篠瀬さんがいてくれてよかったよ。二人で賞取れて、僕一番の思い出になったよ」

うう…武内くん

なんて純粋なんだ

「ほんとにいい子だね。」

「え、そんなことないよ!」

「私も、武内くんとご一緒できて嬉しいよ」

「篠瀬さん…」


段ボールを捨ててと

よし仕事完了


「戻ろうか!」

「し、篠瀬さん!」

ん?

武内くんは段ボールを捨てた場所から動かず顔を変に赤く染めて私を見ていた

「どうしたの?」


視線を泳がせながらもじもじと何かを言おうとしてるのはわかるんだけど…


「あの…その…僕、し、篠瀬さんのことが…す…す!」





「シーノセッ!」


へ、な!


体が宙にう、浮いて、


わあああっ!!


「は、浜田さん!?」

「篠瀬さん!?」


ええ!?な、なんじゃこの状況!


どこからともなく現れた浜田さんにお、お、お姫様抱っこされてる!?


そのまま武内くんの元からサーっと離れていく


小さくなっていく呆然とした武内くん


な、な、なんですかこれぇえぇぇ!?



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