「悪」が似合わない君と。
『ハナ』
浜田side
はぁ…
シノセにフラれてあんまり調子が出ない
情けねぇな
家でも落ち込んでいたら兄貴がなんかよくわからんファッション雑誌すすめてくるし
でもこの表紙のハナってモデル…
シノセに似てるんだよな
……
うん。やっぱ似てる
メイクバンバンだけど
目とか、根本的なとこが似てるな
「お、浜田、珍しいもん持ってんな」
うお、カイさん
いつのまに
「ファッション雑誌?」
うお、彗さんまで
「あ、これ表紙、美花じゃん」
…
は?
なにゆーてんの海さん
似てはいるけどさすがにシノセ本人ではないよ
「あ、まじじゃん。すげーなあいつ」
彗さんまで
「いやいや、流石に似てはいるけど本人呼ばわりはないっすよ」
冗談めかして言うと
「え?」
「あれ、浜田知らなかった感じ?」
へ?
2人がすんっとした顔で言った
「これ、あいつ本人だぜ?」
……
はは
…
はあ!?
「え、は?え、でもこれ、めっちゃ有名なモデルっすよ!?」
「ああ、あいつだよ。眼鏡の下の素顔知ってんだろ?」
ま、まあ知ってるけど
「やばいだろ?もう妖精だろあれ」
た、確かににバカ可愛いけど!
…え
「え、まじすか?」
「「まじ」」
「俺…聞かされてないっす」
そんな
篠瀬、友達なんだから言ってくれてもいいだろ
「いや、俺も聞いてないよ?」
へ?
海さんが当然のように言った
「俺も言われる前から知ってた」
彗さんまで?
え、な、なぜに?
「見りゃわかるだろ、どう見てもあいつじゃん」
え
「で、でも顔違くないすか?」
きょとんとしていた海さんがふっと笑った
「まあメイクは濃いけど、目とか鼻とか口のパーツとか
あと、体つき?あの細くて色っぽい足が完全一致」
淡々とそう話す海さんにぽかんとする
いや、そのレベルまで行くとちょっとやばいっすよ海さん
い、色っぽいって…
ま、まさか彗さんもそんな感じなのか!?
もしそうだったらシノセが危険だ!
「け、彗さんもそんな感じでわかったんですか?」
「ん?いや、そんなとこまで見てないけど…普通に美花だもん」
へ?
「見りゃわかるだろ、どう見たって美花じゃん」
え
「特徴とかって…」
「いや、そんなんないけど、わかるだろ」
ワカンねぇよ!
な、なんだこの人たち次元が違うんだけど
「おれ、多分あいつなら着ぐるみ着ててもわかるぜ」
さ、さすが彗さん
言ってることやばいけど…
カッコよく見えるっす
やっぱこの人には敵わないっぽい…