庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「しかしかわいらしいお嬢さんですね。社長が夢中になるのもわかります」
茶化すように言う桜庭を思い切り睨んだ。他人に知ったような口を叩かれると非常に腹立たしい。これがただの独占欲だということはわかっている。自分がこれほど小さい男だとは思わなかった。
恐らく彼女の全てを独占できていないというのも理由の一つだろう。だからいつになく余裕がない。
何もかも自分のものにできれば、こんなにもじれったくなることもないのに。だが無理強いだけはしたくない。
そもそも彼女の心は俺に傾いているのか? 少しは男として見られている?
この数か月一緒にいるが、彼女の心情がまったく見えてこない。時折甘えた様にすり寄ってくるが、どういうつもりなのか整理できないでいる。
好きにさせると宣言しておきながら、まったく進展がないようにも思えて仕方なかった。