庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
課に戻ると午前中やりのこしていた仕事に取り掛かる。もうすぐ人事異動の季節ということもあり、この時期は慌ただしくなる。
するとポケットのスマホが震えた。見てみると千晃くんからラインで、今日は夕飯はいらないという内容だった。
千晃くんが外食や接待で夕食がいらないというのは珍しくない。むしろ家で食べるほうが確率は低いかもしれない。今日もきっと接待か何かが急に入ったのだろう。
了解という猫のスタンプを送ると、そのままポケットにしまった。と、またスマホが震えるのを感じた。
『さっきの男誰?』
見た瞬間ドキリとした。と同時に、少し離れた場所にいる景山くんを睨んだ。まったく、余計なことをしてくれたな。だけどまさか千晃くんがあんな挑発に乗るとは。ちょっと意外。
『ただの後輩だよ。仕事頑張ってね』
それ以上聞かれると、告白されたことまで話さなくちゃいけなくなりそうで、やや無理やり終わらせた。
千晃くんを不安にさせたくない。それに洗いざらい正直に話すことが正しいとは限らない。だいたい景山くんだって結婚を邪魔しようとしているわけじゃないんだし。
そう一人納得すると、仕事モードに切り替えた。