庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「まぁ、好きな人を困らせるのは本位じゃないって学んだので、今更どうこうしようとは思っていませんけど」
澄ました顔でメニュー表を眺めながら景山くんが呟く。そして続けざまにこう言った。
「一つ言っていいですか? 俺、あの女の人、知っているかもしれません」
「女の人って、三条さん?」
「あーそうそれです。どこかで見たことあるなって、帰ってからも考えていたんです。名前が思い出せなかったんですけど、それを聞いて確信しました」
三条さんと景山くんが知り合い? いったいどんな関係なのだろうと思っていると、景山くんが口を開いた。
「向こうは全然気がついていなかったようですけれど、昔彼女と一緒に読者モデルをやっていたんですよ」
「読者モデル?」
彩子と声がはもる。
「はい。高校の時の話ですけど」
確かに景山くんも愛らしい顔をしている。三条さんも背が高くて美人だし納得いく。
「高飛車でいけ好かない人でした。自分は一流企業の姪だから、欲しいと思ったものはなんでも手に入る、って、よく言っていました」
それを聞いて、ぞくりとした。
「だから彼女は高校生のくせによく海外にも行っていたし、ブランド品も身に着けていましたよ。あ、すみません、日替わり定食一つ」
慣れた様子で注文をする景山くんを目の端で捉えたまま、口を引き結ぶ。