庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
仕事を終え一度家に戻ると、千晃くんと再会した時に買ってもらったワンピースに袖を通す。髪をセットして、いつもより濃いめの口紅をさっと塗り家を出ると、マンションの前で待った。
少し時間が早いけれど、夜風に当たって気持ちを落ち着かせたい。そわそわする気持ちを抑えるように、何度も深呼吸する。
すると少しして黒のセダンが目の前に止まった。千晃くんが来たと思い一歩踏み出そうとしたところで足が止まった。後部座席の窓が下がり、そこから顔を出したのは予想外の人だったから。
「なにしていらっしゃるの?」
思いがけない展開に目を瞬かせると、車から三条さんが話しかけてきた。どうしてここに? 偶然? それとも……。
「そうだ、ちょうどよかったわ」
何を思ったのか、三条さんは車を降り立ち尽くす私のところへ真っ直ぐ歩いてくる。なにがちょうどよかったの? 私は今一番あなたに会いたくなかった。
困惑している間に彼女は私の目の前まで来ていた。いつ見ても綺麗な顔立ち。それでいて振る舞いは自信で満ち溢れている。彼女を目の前にすると、飲み込まれてしまいそうな感覚に
なる。