庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
第八章 二度目のプロポーズ

 車がホテルに到着すると、ベルボーイにエスコートされながらレストランへ向かう。さすが高級ホテルといった感じで、なにもかもが心地よく洗練されている。緊張でぎこちない私にも優しい。
 
 レストランの入り口までたどり着くと、そこで立っている人に目が留まった。千晃くんだ。

 スーツに身を包み、腕に着けている時計を確認している姿は、ここからでもかっこ良さが際立っていて、行き交う人が彼をチラチラと見ているのに気が付いた。

「千晃くん」

 彼に声を掛けながら近づいて行く。すぐに気が付いた千晃くんは、手を上げこっちを見た。

「椎花、待ってたよ」

 柔らかな笑顔で言われ、ドキドキと心臓が加速する。千晃くんのこの優しい顔が好きだ。まとう穏やかな雰囲気も、声も、彼の全てが愛しい。

「その服ってこの前の?」
「うん、着てきちゃった」
「やっぱりよく似合っている。可愛い」

 そう言って、千晃くんは手を差し伸べる。まるで王子様のような彼の手におずおず出した手を重ねると、コツッとヒールを鳴らし中へ向かった。



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