庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
用意されていた席は見晴らしがよい窓際で、思わずわぁっと声を上げてしまった。最上階のレストランで食事だなんて、なんだか夢をみているみたいだ。しかも目の前には大好きな彼がいる。それだけで胸がいっぱいになる。
席に着くと、料理とワインは千晃くんがあっという間に決めてくれた。なんでも卒なくこなしてしまうから目を見張る。
ソムリエにワインを注いでもらい終えると、自然と見つめ合う。
「乾杯する?」
そう言ってグラスを上げると千晃くんが「その前に」と口を開いた。
「椎花に謝っておかないと」
え? とキョトンとしていると、千晃くんが「ごめん」と言って頭を下げた。
「俺の認識が甘かった。三条さんのこと、桜庭に聞いた」
それを聞いて、思い切り首を振る。
「ううん……もう大丈夫だから」
「嫌な気持ちにさせたと思う。ごめん、それと俺を信じてくれてありがとう」
千晃くん……。
「椎花にきちんと説明しておくべきだった。変な誤解されたくなくて伏せていた俺が悪い」
「ということは、三条さんとは結婚しないんだよね?」
「もちろん。昨日の会食でやっと納得してもらった。俺が好きなのは椎花だけだって、三条さんの前ではっきり伝えてきた」
初めて千晃くんの口から「好き」という言葉が聞けて不意に目頭が熱くなる。そんな私の前で千晃くんがいつになく真剣な顔つきで口を開いた。