庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす



 前菜からメインディッシュまで食べ終わった頃、ふと千晃くんが改まったように私を見た。

「椎花」
「ん?」
「今日ここに来てもらったのはさ」

 そこまで聞いてハッとした。そう言えば大事な話があるって言っていたっけ。いろんなことがありすぎて忘れていたけれど、結局大事な話ってなんだろう?

 ドキドキしながら千晃くんの顔を見つめていると、千晃くんがふと何かを差し出してきた。

「まだ渡していなかったから」

 見ると千晃くんの手の中には小さな箱が。そしてそれを開けると、眩しいくらいに光る指輪が出てきた。

「えっ、これって……」
「改めて言わせて。椎花、結婚しよう」
「千晃くん……」
「俺に、椎花を一生守らせてほしい」

 思いもよらないことに一瞬にして感極まる。別れを切りだされるとばかり思っていたから余計だ。

「はめてくれる?」

 問われコクコクと涙ぐみながら頷く。

 スッと左の薬指にはめられた指輪は大きなダイヤが付いていて、見たこともない輝きを放っていた。


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