庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
side 千晃
スヤスヤと眠る彼女の頬にそっと口づける。
やっと本当の恋人っぽくなれたという幸福感と、もっと早く彼女とこうしたかったとう後悔もい抱きつつ、彼女をそっと懐にしまいこむ。
椎花とは昔馴染みで彼女のことはよく知っているつもりだ。それと同時に初恋の子でもある。そう、俺は長年、初恋をこじらせていたのだ。
こうやって椎花を彼女というポジションをすっ飛ばし、奥さんにすることができたけれど、よくよく考えるとかなり強引で、痛い男だと思う。
どんな女に言い寄られても、恋人同士になっても、結局いつもどこか椎花と比べていた。そんなことをする暇があるのならさっさと告白でもなんでもすればよかったのに、昔の俺にはそれができなかった。
単純な話、振られたら立ち直れないと思っていたから。俗にいう、本命には手を出しにくいというやつ。
気持ちを打ち明ける時間はいくらでもあった。寧ろまだまだ猶予はあるだろうと高をくくっていたくらいだ。
だが俺がうだつの上がらないことばかりしているうちに、椎花は大学卒業後、上京してしまったのだ。
東京へ行ってしまったと聞いたときは本気でへこんだ。それと同時に、ガキだった自分を恐ろしく呪った。