庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
挙式が終わり千晃くんと一緒に退場すると、フラワーシャワーで祝福された。
「椎花! おめでと!」
「椎花可愛いー! おめでとう」
高校時代の友達が、一生懸命私に手を振っている。懐かしい顔ぶれに胸が熱くなる。
始まってから泣いてばかりだったけれど、いつまでもそうじゃいられない。
笑おう。幸せいっぱいの顔をお父さんに見せなきゃ。それが今私にできること。
「椎花ー! こっち目線ちょうだーい」
張り切った様子の声を辿れば、彩子が大きなカメラを向けていた。その隣にはなぜか景山くんの姿が。
「仕方ないから来てあげましたよ、小原さん」
相変わらずの物言いにおかしくなる。しかもそんな景山くんに彩子が「だからあんたは椎花のなんなのよ!」とツッコんでいた。あの二人案外お似合いなのかも。
そう思っている今度は千晃くんの旧友がその先にいた。
「よかったな、千晃! ずっと好きだったもんな、椎花ちゃんのこと」
「どんだけ一途なんだよ!」
千晃くんは珍しく照れていて「バカ、やめろ」と言いながら、目で威嚇していた。そんな彼が可愛くて思わずクスクスと笑ってしまった。
こんなにも祝ってくれる友人がいたことに、感謝と同時に誇らしく思う。私は幸せだ。
千晃くん、もっともっと遠い未来でも一緒に笑っていようね。
ずっと側にいてね。