庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


 挙式が終わり千晃くんと一緒に退場すると、フラワーシャワーで祝福された。

「椎花! おめでと!」
「椎花可愛いー! おめでとう」

 高校時代の友達が、一生懸命私に手を振っている。懐かしい顔ぶれに胸が熱くなる。

 始まってから泣いてばかりだったけれど、いつまでもそうじゃいられない。

 笑おう。幸せいっぱいの顔をお父さんに見せなきゃ。それが今私にできること。

「椎花ー! こっち目線ちょうだーい」

 張り切った様子の声を辿れば、彩子が大きなカメラを向けていた。その隣にはなぜか景山くんの姿が。

「仕方ないから来てあげましたよ、小原さん」

 相変わらずの物言いにおかしくなる。しかもそんな景山くんに彩子が「だからあんたは椎花のなんなのよ!」とツッコんでいた。あの二人案外お似合いなのかも。

 そう思っている今度は千晃くんの旧友がその先にいた。

「よかったな、千晃! ずっと好きだったもんな、椎花ちゃんのこと」
「どんだけ一途なんだよ!」

 千晃くんは珍しく照れていて「バカ、やめろ」と言いながら、目で威嚇していた。そんな彼が可愛くて思わずクスクスと笑ってしまった。

 こんなにも祝ってくれる友人がいたことに、感謝と同時に誇らしく思う。私は幸せだ。

 千晃くん、もっともっと遠い未来でも一緒に笑っていようね。

 ずっと側にいてね。


< 157 / 185 >

この作品をシェア

pagetop