庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


 翌日。咲き誇る花びらが風に揺れる桜並木を、二人でのんびりと歩いていた。時折吹く風で帽子が飛ばされそうになるのを押さえながら、目の前の桜を目を細め眺める。

 そんな中、隣を歩く彼に声をかけた。

「ねぇ、千晃くん」

 千晃くんは「ん?」と首を傾げ私を覗き込む。 

 私たちは恋人という期間を過ごさず、結婚に至った。幼馴染とはいえ、男として、女として、お互い見たことのない一面がまだまだあると思う。

 だから昨日私はこっそり誓ったんだ。

「結婚しても、恋愛しようね」

 夫婦である前に、いつまでも恋人同士の関係でいたい。きっと私たちはこれからだから。

「それ、俺も思ってた」
「え? 本当に?」
「デートだったり、旅行だったり、恋人がやって当たり前なこと、全然してないだろう?俺たち」

「うん」と思い切り頷く。千晃くんも同じ気持ちだったんだ。


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