庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


「俺は椎花とやりたいことがたくさんある。あと、毎日好きだって伝えるし、毎日、椎花を幸せにするって昨日神様の前で誓った」

 平然とそんな甘いセリフを言ってしまうから、こっちが赤面してしまう。
 
 だけれど色んなことがトントン拍子で進んで、こんな風にのんびり歩くことさえしていなかった気がする。
 
 そう思うとどれも新鮮に思えてきて、ワクワクと胸が弾んだ。付き合いたての恋人同士のような初々しい気持ち。

「まずは、正式な夫婦になろう」

 そう言って千晃君が見上げた先には区役所が。おしゃべりをしていたらあっという間についてしまった。

 中に入ると用意していた婚姻届を出す。役所の人が書類に目を通している間、ずっとドキドキしていた。

「はい。確かに。おめでとうございます」

 そう言われ、自然と千晃くんと見つめ合う。

「よろしくね、奥さん」
「こちらこそ」

 桜前線まっただ中。私はこの日、高宮椎花になった。



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