庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


「まぁ~ありがとう。千晃くんたらほんと、紳士で素敵ね」
「とんでもないです。遠くから足を運んでくださり、ありがとうございました」

 そう言って、父にもお酒のお土産を渡す千晃くん。すると、それを見つめる私に母がそっと耳打ちした。

「椎花のこともすごく大切にしてくれそうね。お母さん相手が千晃くんで安心した。変な人だったらどうしようって、そんなことばかり考えていたから、お陰で昨日の夜眠れなかったんだから」

 お母さん……。

「じゃあ私たちはこれで失礼するわね。今度は二人で帰っていらっしゃいよ」
「わかった。お母さんもお父さんも、体気をつけてね」
「椎花が心配することないわ。お父さんもお母さんも大丈夫だから。自分の事だけ考えなさい」

 そう言い残すと、二人は街中へと消えて行く。

 お父さんの足取りは以前見た時よりゆっくりになったように見えた。胸の奥がヒリつくのを感じる。

 
 二人の背中が見えなくと、自然と安堵の溜息が零れた。

「今日はありがとう、千晃くん。とりあえずなんとか誤魔化せた。後のことは……」

 自分でなんとかすると、言いかけたとき、千晃くんがネクタイを緩めながら口を開いた。

「このまま作戦会議しよう」
「え? 作戦会議って?」
「おいで、椎花」
「ちょっ、千晃くん!?」

 訳が分からない私を、千晃くんが再びどこかへつれて行く。

 なになに? 作戦会議って? まだなにかあるの?


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