庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
最終章 ずっとあなたの傍で
「椎花! 桃のおむつとって」
「え? また?」
「替えた瞬間にやられたよー」
千晃くんの悲痛な声が部屋に響く。
私は洗濯物を干す手を止めると、おむつを握りしめリビングへと向かった。
「はい、千晃くんこれ……って、いったい何の騒ぎ?」
リビングには桃を必死に追いかける千晃くんと、その手から楽しそうに逃げ回る桃の姿。
しかも床にはティッシュが散乱している。きっと桃が好き放題出しまくったことが、容易に想像できた。
「桃はいつの間にこんなにすばしっこくなったんだ?」
そう言う千晃くんの顔はやや疲れ気味。それも仕方ないだろう。娘の桃は今10か月でハイハイ全盛期。
しかも毎日いたずら三昧で、ちょっとも目が離せなかった。おむつを替えるのも一苦労なのだ。
「貸して私がやるから」
「ダメ、俺がやる」
自由に這い回る桃を捕まえようとしたら、千晃くんに阻止されてしまった。
「おむつ替えくらい俺もできないとさ」
ひょいと桃を捕まえ抱っこすると、高い高いをして桃の機嫌をとっている。その顔はすっかりパパだ。