庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「なんか、久しぶりに千晃くんから褒められたような気がする」
「そんなことないよ」
「だって、最近千晃くん、桃ばっかりだもん」
口を尖らせ、意味もなく砂を掘ってみる。すると肩にそっと手が回され引き寄せられた。
「もしかしてヤキモチやいてる?」
「そうじゃない……けど昔から比べたら減ってるよね、スキンシップ」
そう言うと、千晃くんがニヤニヤし始めた。
「可愛いなー椎花は。そうやってすぐ俺を誘惑する」
「誘惑じゃなくて、真実を言っているだけ」
「無自覚なとこが小悪魔だよな、昔から」
そう言うと目を細め私を見つめた。髪の隙間に指を入れられ思わず肩がビクッとなる。
「今も変わらず好きだよ、椎花。愛してる」
甘い言葉の後、優しいキスをくれた。
「じゃあ今夜はとことん愛し合おうか」
「やだよ、実家なのに」
全力で拒否ると、千晃くんはガクッと項垂れった。だけどすぐ笑って海を見つめていた。
「俺今すげー幸せ。椎花がいて、桃がいて。これ以上望むものはないってくらい」
その横顔が綺麗で思わず息を飲む。毎日見ているのに全然飽きなくて、結婚した当初思っていたように、日に日に好きになっている。
昨日より千晃くんが好き。きっと明日はもっと好きになっている。
私、千晃くんと再会してからずっと幸せだ。そう思うと不意に泣きたくなった。
そっと千晃くんの肩に頭を乗せると、寄せては返す波の音を聞きながら二人でしばらく地平線を眺めていた。