庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


「僕たちもいつもラブラブですよ。な、椎花」

 すると、千晃くんまでいらないことを言いだした。

「千晃くんまで何言っているのよ!」

 しかも義理の実家で!

「今日はお義母さんが桃を預かってくれたお陰で、久しぶりに二人きりでいちゃつけました」
「キャー! いいなぁ! 椎花!」

 母が悲鳴を上げる。

「椎花ちゃん、愛されてて羨ましいなぁ」

 しかも香澄さんまで。

 それにお兄ちゃんが怒って「千晃! お前は人の嫁までたぶらかす気か!」とか言い始めるし。

 まだ何か言いたそうな千晃くんの口元を慌てて塞ぐと、そんな私達を見て、お母さんの膝の上に座っていた桃がケラケラと笑い始めた。

「桃ちゃんのパパとママ、なかよちでしゅねー」

 お母さんの言葉に、桃がさらに楽しげに手を叩き始める。

 きっとあまりわかっていないだろうけれど、この雰囲気が桃にも幸せな空間だってことは分かったのだろう。

「あっ、こら亮太!」
 
 それに悪乗りした亮太がパンツをおろし、今流行の芸人さんのモノマネを始めた。慌てて止める香澄さん。そんな香澄さんに「放っておけ」というお兄ちゃん。
 
 楽しくて仕方なかった。暖かい空気に包まれて、いつまでも続いてほしいと願わずにはいられなかった。
 
 お父さんもわずかだけれど笑っていた。

 こんな風にみんなで笑い合えるのは、お父さんとお母さんがいたからなんだよ。

 私もお父さんたちが作ってくれたような温かい家庭を、千晃くんと築いていきたい。

 改めて心の中で誓いを立てた。


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