庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
番外編 近くて遠いキミ
青い空にうろこ雲が浮いている。季節はすっかり秋の顔を見せていた。
「椎花、元気かな」
起業したばかりのオフィスの窓から顔をだし、一人ごちる。
こんなにもこじらせる前に、俺がもっと素直になっていればよかった。ずっと傍にいたのに、口から出るのはいつも椎花を困らせる言葉ばかり。
きっと椎花も俺の気持ちに気が付くどころか、意地悪な男だと思っているに違いない。好きな子をいじめる典型的なガキだったのだから。
俺が彼女を意識し始めたのは、俺が中三で椎花が中一の時。ただの幼馴染が、俺の初恋相手に変わった瞬間を今も覚えている。