庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
◇
「今年の一年生はレベル高いなー」
自習時間をいいことに、教室でグラウンドを眺めるクラスメイトの香坂と戸田が、ため息交じりに話している。見れば夏真っ盛りのグラウンドで、一年の女子がハードル走をしていたのだ。
「ほら高宮も見てみろ」
「俺はいいよ」
「いいから来いって」
そう言われしぶしぶ窓から顔を出す。
「あの子も可愛い。ほらあの子も。お前はどの子がタイプ?」
「俺? んー……」
そう言われてもどれも同じに見える。女子に興味がないわけではない。俺もいたって普通の男子中学生だし。でもどういうわけか、香坂たちみたいにテンションはあがらない。
「あ! あの今走ってきた子見て! 激かわ!」
「うわ、まじだ」
落ちるのではないかと言う勢いで香坂が窓から身を乗り出す。そんな香坂の視線の先には椎花の姿があって、不意に眉間に皺が寄る。
「異色の可愛さだな。妖精さんって感じ」
ニヤニヤしながら椎花を焼き付ける様に見ている。なんだか無性に腹が立った。気が付いたら香坂の肩を叩き、横槍を入れていた。
「あれのどこがいいんだよ。それならその前に走った子のほうが可愛いだろ」
「はぁー? お前の目は節穴か!」
「お前こそどうかしているよ。あんな幼児体型がいいなんて」
俺は思ってもいないことをべらべらと口にする。
幼児体型は言いすぎかもしれないが(実際に知らないし)椎花は中学に入って可愛くなったと思う。