庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「ちょっと退いてろ」
「え? どうする気?」
「探すんだろ?」
ぶっきら棒に言って、地面に這いつくばり側溝を覗く。アスファルトは焼けるように熱い。
その背後では俺の名前を連呼する椎花の声がする。どうせやめろだのなんだの言っているんだろう。でも俺は聞こえないふりをして、中を見渡した。
すると少し奥まったところでわずかに光るそれらしきものが見えた。手を伸ばせば届くかもしれない。
「千晃くん、そこまでしなくていいから!」
俺の制服を引っ張る椎花。だがそうこうしているうちに、ヘアピンに手が届いて、取り出すことができた。
「あったよ」
「千晃くん……」
「なに泣いてるんだよ。ったく、鬱陶しいな」
また毒づいてしまい、やばっ、と思った。だけれど椎花は泣きながらわずかに笑っていた。それを見て、ホッとする。
「ありがとう」
「ちょっと泥で汚れてるから帰って洗おう」
そう言って自分のポケットにそれを突っ込む。
「ごめんね」
「いいよ、別に。お前に泣かれるとうざいし」
そんなことが言いたいわけじゃないに、椎花の前だけ口が暴発してしまう。