庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「いいなー椎花は。こんな素敵な幼馴染がいて」
ダイレクトに彩子が言うものだから反応に困る。本人目の前に、そうでしょと肯定するのも恥ずかしいし、否定するのも違う気がするし。
「そ、そうかなぁ」
考えた挙句、曖昧に頷いた。千晃くんの視線も感じるけど気が付かないふりをしてワインをぐっと飲み干す。
「ちなみに高宮さんは今彼女はいらっしゃるんですか?」
なんの前触れもなく彩子が本題を切り出し、思わずワインを吹き出しそうになった。
それ、私がそれとなく聞いておくって話じゃなかったの? しびれを切らした? どんだけせっかちなの。肉食系を通り越して、もはや猛獣じゃないか。
心を落ち着かせるように、口元をテーブルナプキンでキュッと拭く。
ふと千晃くんの反応が気になり向かいに視線を移すと、魂胆見え見えの彩子に苦笑いをこぼしていた。