庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「あとで薬局に薬買いに行こうか」
「え、あ……うん」
早く離れて。じゃないと心臓がもたない。しかも彩子がいるのに……。
「あの、私、そろそろ帰りますね」
そこに彩子が様子を見に来て、慌てた私は咄嗟に千晃くんを押しのけてしまった。千晃くんも驚いたような顔をしている。
「あ、え? 帰るの? ラザニアできたよ」
だけど取り繕うのもおかしい気がして、何事もなかったかのように彩子に声を掛けた。
「うん。ありがとう。でもちょっと用事思い出したから」
「用事? そうなんだ」
珍しいなと思いつつ、クローゼットにかけていた彩子のコートを準備する。
「高宮さん、今日は急にお邪魔してすみませんでした」
「ううん、気を付けてね帰って」
彩子はバッグを持ち頭を下げると、本当に帰ってしまった。