庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


 昨日も思ったけど、お風呂はもちろん洗面所もピカピカに光ってる。料理はできるし、綺麗好きだし、改めて非の打ちどころがないと思ってしまう。

 お風呂をあがりリビングに行くと、さっきまでソファに座っていた千晃くんがそのままずるずると下がって行ったかの様な恰好で眠っていた。朝も早かったし、私のせいで昨日はソファで寝かせてしまったから疲れてるのかも。今日はゆっくり寝てもらおうと、そっと千晃くんに近づき声を掛けた。

「千晃くん、今日は私がここで寝るから。ベッドに行って」

 そう言うも、スヤスヤと寝息を立てて起きない。困ったな。どうしよう……。

「おーい、千晃くーん」

 ダメだこりゃ。そういえば千晃くん朝は得意だが、夜は早く寝るタイプだったような。しかも一度寝ると起きないと言う強者。

 んーと悩みながら、彼を上から眺める。近くで見ても嫌味なくらい綺麗な顔してるな。まつ毛は長いし、肌は綺麗だし、鼻も高いし。なんて、寝ていることをいいことに観察していると、急に視界が揺れた。

「えっ?!」

 眠っているはずの千晃くんに突然腕を掴まれ、そのまま馬乗り状態になってしまったのだ。

「え? 千晃くん? 起きてるの?」

 戸惑いながらわずか数センチ先にある顔に向かって言う。だけど返事はない。もしかして寝ぼけてる?

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