庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす



 父が難病にかかったせいもあり、ここ最近、両親は早く私の花嫁姿が見たいと言っていた。

 私は両親の夢を叶えてあげたくて婚活に力を入れていた。そこで出会ったのが遥斗だった。
 
 会社の同僚にセッティングしてもらったいわゆる合コンというやつだが、遥斗はノリがよくて盛り上げ上手で、仕事は何をしているかよくわからなかったけど、意気投合し、すぐに付き合うことになった。
 
 先月の付き合って半年記念日のとき、私が遥斗に両親に会ってほしいと言った。遥斗はためらわずいいよと言ってくれた。

 そしてその日のうちに、私は両親に会わせたい人がいると電話で告げた。電話口だったけど、抱き合って喜ぶ姿が目に浮かんだ。そのくらい声が弾んでいたんだ。きっと今もワクワクしながら私たちを待っているはず。

 優しくて、穏やかで、いつも私の味方でいてくれた大好きな両親。そんな両親を自らの手で撃ち落とすことになると思うと、胃がキリキリと痛んだ。

 整理のつかない頭で、一人ホテルへと向かう。12時から食事をする予定にしていて、今さらキャンセルするわけにもいかない。

 こうなったら洗いざらい話すしかない。バカな娘だって笑ってくれるだろう。徐々に覚悟を決めながら角を曲がった。

 ビルとビルの脇道というのは昼間でも薄暗い。人通りも少ないし、なんとなく辺りをキョロキョロとしてしまう。ヒールの音もやけに響く。


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