庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「高宮さんに近づきたいって思っていたんだけど、昨日の二人の雰囲気見て、あー全然ダメじゃんってわかったの。私の入る余地ないって」
「ちょっと待って、変な誤解しないでよね? 千晃くんはただ親切でしてくれているだけだし、私にとってお兄ちゃんみたいなもので……」
「ふーん、そうかなぁ? 私はそうは見えなかったけれど」
「へ、変なこと言わないでよ!」
彩子は千晃くんが私を一人の女性として見てるっていいたいの? それは絶対ないでしょう。ありえない。地元では千晃さまとまで言われていたあの千晃くんが、私みたいな平凡な女の子を……。
「男女の仲なんていつどうなるかわからないじゃん。そう頑なに否定しなくてもいいんじゃない?」
「で、でも」
「それに利害一致してんじゃん。あんたは結婚したい。高宮さんは椎花が好き。付き合っちゃえば丸くおさまるじゃん」
不敵な笑みを向けられ、反論する言葉が見つからず、背後から押し寄せる人の波に流されるようにエレベーターに乗り込むと、ぼんやりと天井を仰いだ。