庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


「はい、KOKORO文具 人事部景山です」
 
 外線が鳴り、景山くんが受話器を取る。

 3コール以内という教えを守って偉い偉いと思っていると、景山くんが「こちらこそお世話になります」と言いながら私を見た。

 私宛だろうか? 誰だろうと予想しながら見ていると、少々お待ちくださいと言って景山くんは保留ボタンを押した。

「小原さん、男の人から電話です」
「え? 誰?」
「高宮とか言ったかな」

 千晃くん!? どうして会社に電話なんか。もしかして何か急用だろうか。今スマホもない
し、それで……?

 恐る恐る受話器を取り、点滅するボタンを押す。

「はい、お電話代わりました」
「椎花? 俺、千晃だけど」
「どうしたの?」

 チラチラとこっちを見る景山くんの視線を気にしながら小声で問いかける。

「実は今桜太から連絡があって……お父さんが倒れて、病院に運ばれたって」
「えっ!?」

 倒れた? うそ……。数日前まで元気だったのに。そんな、お父さん……。

「椎花? 大丈夫か? 落ち着けよ」
「う、うん」

 そう言われても受話器を持つ手が震えている。顔から血の気が引いていくのを感じる。


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