庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす



 鞄一つ握りしめ、飛行機の窓から小さくなっていく空港を見つめていた。

 空港に着くとすぐ、キョロキョロとする私に一人の男性が声を掛けてきた。

 自分は高宮社長の遣いで、私に航空券を渡すよう指示されていると。一瞬怪しいと疑ってしまったが、私の名前をフルネームで知っていたし、なにより千晃くんの会社の名刺を持っていた。

 昨日雑誌で見かけた「PARNITION」という社名だけはしっかりと覚えていたんだ。

 私は男性にお礼を言うと、用意してもらった飛行機に搭乗した。でもまた千晃くんに迷惑をかけてしまった。なにからなにまでお世話になりっぱなしで、もうどうお礼をしていいかわからない。

 座席に体重を預けると、ゆっくり目を閉じた。
 
 そう言えば立ち去る間際、桜庭さんが「またね、仔猫ちゃん」と言ったような気がしたけど、あれはいったいどういうことだったんだろう……? 

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