庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「椎花? あんた東京から来たの?」
ベット脇に座っていたお母さんが私に気が付き、驚いたように声を上げる。
「うん……心配で帰ってきちゃった。お父さん、どうなの?」
「誤嚥性肺炎起こしてるって」
「誤嚥性肺炎?」
聞いたこともない病名に、ますます混乱する。
「命に別状はないみたい。でも喉の筋力も弱ってきてるみたいで。それで誤って食べ物が気管支に入ってしまったみたいなの」
お母さんによると数日前から元気がなかったそうだ。今朝病院に連れて行こうとした矢先、静かに倒れたそう。
「椎花、あなた仕事は大丈夫なの?」
「今日は半日有給もらったから」
「じゃあ今日のうちに帰りなさい。まだ最終便に間に合うでしょ?」
「でもっ、」
「心配なのはわかるけど、日常を送ることが今の椎花にできること。お父さんのことはお母さんが付いているから、ね?」
まるで小さな子供に諭すように言うお母さん。それはつまり、私はここにいても何もできない。できることはないってこと?