庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


 しかも戸惑っている間にも、次第にキスはエスカレートしていく。手の甲から二の腕、肩、肩甲骨へと徐々に上へと上がってきているのがわかって、ギュッと目を閉じた。

 これはいったい……!?

「俺は椎花のこと、妹だなんて思ったことはない」
「え?」
「椎花の兄でもない。ただの男なんだけど」

 耳元で囁くように言われカァーッとさらに血が上る。目は涙目だ。

「ドキドキしてる?」

 うんうんと、全力で頷く。

「じゃあ、男としてみたことがないっていう理由は却下だからな」

 そう言うと、千晃くんが私を正面に向き直させ、下から真剣な眼差しで見つめた。そしてゆっくりと私の両手を取る。綺麗な顔を前に緊張で喉がコクンと鳴った。

「結婚しよう、椎花」
「えっ……?」
「大切にする、一生椎花を守っていく」

 頭が真っ白だった。
 
 今私、千晃くんにプロポーズされてる!?  家を出て行ってほしいと言われるのだとばかり思っていたから、完全にパニックだ。

「あの……えっと、」
 
 だけどいったいどうしてこんな展開に? 今までのは演技だったんじゃ……。違うの?

 じっと私の返事を待つ千晃くんの前で、アタフタする。どうしよう。どうしよう。千晃くんのことは嫌いじゃない。でもそんな風に意識したことがない。
 
 そこであっ、と思った。もしかしてさっきのキスは先手を打ってきた? ようやく意図がわかった。千晃くんも私の気持ちわかってて、それであんな……。

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