庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


 デザートを買い、家に着いたときには21時を回っていた。一日歩き回って足はクタクタだ。しかも明日は仕事だと言う現実に泣きたくなる。

「椎花、お風呂入れたからどうぞ」
「え? いつのまに? あ、でも千晃くんは?」
「俺はちょっとやり残した仕事があるから。それを片付けてから入るよ」

 家に帰ってきてまでも仕事なんて、気が休まる暇がないだろうな。体のことが心配になる。

 そんなことを考えている間にも、千晃くんはデスクでノートパソコンを広げ、すでに仕事モード。難しそうな顔でらめっこしている。邪魔しちゃいけないと思い、私は小さくお先にと言うと風呂場へと向かった。


 バスタブに浸かると思わずはぁ~と至福の溜息が零れた。暖かい湯につかると一気に疲れが吹き飛ぶような気がする。入浴剤でもあれば……。あっ、とそこで以前部屋から持ってきていたのを思い出した。

 確かカモミールの香りで、癒し効果があると書いてあった。千晃くんも少しはリラックスできるかもしれないと思い、バスタブからあがるとそっとドアを開け、隙間から辺りを確認した。確かあの洗面台の下にしまったはず。

 よし、誰もいない。今だとタオルで前だけ隠し浴室を出る。

 するとどういうわけか、脱衣所のドアが開く気配がした。

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