庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「もしかして小原さんの耳にも入っちゃいました?」
「えっ?」
驚きながら景山くんを見上げる。そこにはちょっと眉を下げ、困ったような景山くんの顔があって、ぽかんとしてしまった。
「急によそよそしいから噂が広まっちゃったかなって」
「えと、その……」
「いいんですよ。その通りですから。こうなることもわかってましたし」
躊躇うことなく話す景山くんの声を口を結び引き聞く。
「昨日知ったんです。小原さんが結婚するって。俺すげーショックで。だから同期のやつ誘って居酒屋で飲んだんです。そしたらどうやらそこで俺、荒れて小原さんの名前連呼してたみたいで。それで朝から噂になってるみたいなんです」
恥ずかしそうに襟足をかく景山くん。なんて声をかけていいかわからなかった。
でもどうして景山くんは私なんかを。全然いい先輩じゃなかったし、しかもついさっきまで景山くんの気持ちに全く気が付いてなかったというのに。
「小原さん、結婚おめでとうございます」
少し目を泳がせた後、景山くんが祝福の言葉を口にする。
「うん……ありがとう」
「よかった、素直に言えて。もしかして相手は、この前会社に電話してきた人ですか?」
そう問われ頷く。そっか、あの時取り次いでくれたのは景山くんだったっけ。