庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす

「どうしてダメなんです?」
「だって半年後には式も挙げるし、それが終わったら入籍する予定になってるの。だから……」
「半年後か。随分急ぎましたね」
「別に急いでなんか」
「益々怪しいな~。契約結婚でもするんじゃないですか~?」

 目を細め、ズイッと顔を近づけてくる景山くん。色々と図星すぎて反論の余地が見つからず、思わず頬を膨らます。これじゃあイエスと言っているようなもの。だけど混乱して言葉が見つからないのだ。

「まぁいいや。とりあえず愛のない結婚をしようとしていることがわかったんで」
「だから違うってば!」
「ふーん、じゃあ今度ラブラブな話、聞かせてくださいよ」 

 ラブラブって……。そんなこと物理的に無理だ。

「俺の気持ちばれちゃったわけだし、これからは正面切って口説けます」
「く、口説けるって……」
「その婚約者の彼に忠告しておいてください。後輩が狙っているって」

 それだけ言うと景山くんは仕事モードの切り替え、パソコンに向かった。その傍らで私は呆気にとられていた。

 まさかこんな展開になるなんて思いもしなかった。どうしよう。これは千晃くんに言うべき? 言わないべき?!


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