庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす

「そういえば椎花の会社って、KOKORO文具だったよな?」
 
 突然そう問われ、きょとんとしながら頷く。

「そうだけど、どうして?」
「今度、もしかすると一緒に仕事することになるかも」
「えっ? そうなの?」

 知らなかった。そもそも千晃くんが何をしているのか、いまだによく理解できていないんだけど。

「まぁプレゼンで勝ち取れたらの話だけど」

 じゃあもし勝ち取れたら、千晃くんがうちの会社に出入するということ? 会社で会ったらどんな感じだろう。想像しただけでドキドキしてしまう。

「今さらなんだけど、千晃くんの会社ってどんな仕事してるの?」
「んー、webのコンサルティング業務って言ったらわかるかな?」
「ごめん、よくわかんない」
「ざっくりいうと、企業のwebサイトの制作から運用を任せてもらって、それに伴ってユーザーの分析、サイトの分析、市場の分析をして、どんどんホームページを改善していく仕事かな」
「う……なんか難しいね」
「今じゃサイトから物を買うのが普通の時代だろ? すごく便利だけど、逆にその波に乗れなくて、衰退していく企業があるのも現実。だからそれらの手伝いをするために外部の俺たちのような会社が入って、その企業のweb関係の仕事全般を任せてもらうって感じかな」

 聞き慣れない言葉の羅列ばかりで、話についていくのがやっとだったけど、仕事の話をする千晃くんは今まで見たことないくらい真剣で、本当に経営者なんだってことを、ここに来て初めて実感したかもしれない。

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