庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「財閥とパイプがある社員もいてさ、色々勉強させてもらってるよ」
「そんな人が? すごいね」
「まぁ彼女は特別っていうか、別格というか」
彼女……? あぁ女性なんだ。
「応援してるね、千晃くん」
「ありがとう」
柔らかく微笑んで、優しい目で見つめる。その顔を見てふと口からこぼれた。
「千晃くん、変わったよね」
「そう?」
「だって、昔はちょっと意地悪だったし。もちろん本当は優しいってことは知ってたけど」
「まぁ小中学生特有のあれだろ」
「あれって?」
「可愛い子はいじめたくなるってやつ」
わずかに口の端を上げる千晃くん。可愛い子だなんてそんなこと一度も言ってくれたことなかったし。私は逆に嫌われているのかなって、真剣に考えたこともあったのに。
「椎花をからかうと反応がおもしろくてついな」
「サンタが両親だってバラしたのも千晃くんだったよね」
今思い出してもちょっとムッとしてしまう。長年信じてやまなかったことを、この人があっさりバラしたんだ。
「中学生にもなってサンタを信じてる奴の方がやばいと思うけど」
「そう、それそれ。椎花の為を思って言ってやってるんだって言って、謝ってくれなかったよね」
「よく覚えてるな~」
ケラケラと笑う千晃くん。
あの時は本当にショックで、それなのに半泣きの私を見て今みたいに笑っていたっけ。
もう口をきいてやらないって、本気で絶交しようとしていたけど、まさか数十年後結婚することになるなんて。あの時の私が知ったら卒倒しちゃうかも。