庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
第五章 過去との決別


 千晃くんの話からほどなくして、それは現実となった。千晃くんと千晃くんの会社のスタッフ数名が、我が社へとやってきたのだ。

 どうやら今日が例のプレゼン会議というやつらしい。千晃くんの会社以外も数社、訪れていた。

 昨夜千晃くんは言っていた。何度やってもプレゼンというものは慣れないと。私にはそのプレゼンというものがいったいなにかもよくわかっていないけど、千晃くんを全力で応援したくて、今朝は張り切っていつもより豪華な朝食を作った。

 千晃くんはそれを完食し、笑顔で出て行ったけど、もしかしたら今頃緊張しているかもしれないと思うと少し心配になる。
 

 しかも運がいいのか悪いのか、今朝私は課長にプレゼン会議のコーヒー係りに任命されてしまい、今ドキドキしながらコーヒーの準備をしているところだ。

「小原さん、手伝いますよ」

 軽快な足取りでやってきた景山くんが、ミルを引く私に貸してと言わばかりに手を差しだす。

「いいの?」
「ちょうど手が空いたんで。一人じゃ大変でしょ」
「ありがとう助かる」
 
 そう言うと、テキパキとコーヒーを入れ始める。あれから景山くんとは普通に話せるようになった。きっと彼があえて普通にしてくれているおかげだろう。

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