庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「でもすぐにホッとしたよ」
「え?」
「椎花の顔が見られたから、うまくやれたんだと思う」
目を細め優しく見つめてくる千晃くんに胸がトクンと高鳴る。
あぁ今すごくその胸に飛び込みたい。もっと千晃くんを身近に感じたい。
「あの、ちあ……」
「ごはん、食べようか?」
無意識のうちに口を開いていた私に、千晃くんが仕切り直すように言った。そこでハッとした。
私、今何を言おうとしてた? 抱きしめてほしいっていいかけていなかった?
自覚してかぁっと顔が熱くなる。どうしちゃったんだろう。自分からそんな風に求めるなんて。こんなの、私じゃないみたい。
「椎花? どうかした?」
自分の変化に内心戸惑っていると、千晃くんが腰を折り私を覗き込んできた。
「ううん、なんでもない。ごはん、食べようか」
そう言って手を離すと再びキッチンへと入る。千晃くんはそんな私を見て不思議そうにしていたけど、気が付かないふりをして鍋をかき回した。
どうしちゃったんだろう、私……。物足りないって感じてる。千晃くんにもっと近づきたいって思ってる。これじゃまるで彩子みたいじゃない。