拝啓、青空の君へ。

1.昔
俺は七森 祐(ななもり ゆう)。今日は幼馴染の葬式に来ている。学生の頃が懐かしく感じる。あいつの笑顔も、あいつの声も、あいつの伝えたい事も、あいつに会う事も出来ない。
空宮 青(そらみや あお)は俺の幼い頃からの幼馴染。いつも一緒にいた。いつも明るくて、クラスの人気者だった。みんなから見たところは元気な子だったが俺がみる青は元気ではなかった。あいつは不治の病にかかっているからだ。クラスのみんなには心配させたくないという青の意志でみんなは知らない。先生だって知らない。知ってるのは俺と青の両親、俺の両親だけだ。俺は学校で発作が起きたときに応急処置を教えられているので発作が起きてもとりあえずは大丈夫だと青は言う。突然倒れることはなく、今のところはまだ大丈夫らしい。
「祐ー！一緒に帰ろ！」「おう、ちょっと待ってろー」急いで帰りの支度を済ませて青と帰り道を歩く。「また、絶対祐と付き合ってるでしょって言われたよ」「そう言うの多いよなー」「祐は幼馴染だし、事情があっていつも一緒に帰ってるだけなのに！」「まぁしょうがないだろ。発作が起きたら保健室に連れて行くのが毎回俺だからなぁ」「まぁしょうがないかぁ。」そんなことを話しているうちに家に着いた。「じゃあね！祐！また明日！」「おうまた明日な」青が家に入っていって俺も歩き出した。(はぁ、今日もなんとかバレずに終わったか。青、病気のこと言えば付き合ってるって勘違いされないと青もわかってるだろうけど…青の意志ならいいか…）そんなことを考えながら家に帰る。ふと携帯を見ると青からメッセージが来ていた。《あのさ！どうやったら付き合ってるって勘違いされないかな？青》
《んー、みんなに事情話せばいいかもだけどそれは青が嫌だろ？》《それはちょっと…嫌だなぁ…》《なんで言いたくないんだ？心配かけたくないって言ってるけどみんな優しいから俺はいいと思うけど…》《心配かけたくないって言うのもあるけど本当は中学行くとこ変えたでしょ？転校みたいな形で。あの時本当はいじめられてた。先生も知ってたんだけどひいきされてるとかって祐の居ないところでいじめられてたから。中学変えて、だからみんなには教えたくない。みんな優しいってわかってるけどそれでも…怖い。》今日、初めて青の正直な気持ちを知った。今まで心配かけたくないって言ってたことは嘘じゃない。でもその背景にある青の気持ちを俺は知らなかった。《青、話脱線しちまったな。ごめん。》《いいよ！全然大丈夫。》《付き合ってないって俺からも言う？》《信じて貰えないでしょー》《いっそ付き合ってるってことにしちゃう？偽カップルみたいな？笑笑》《偽は嫌かなぁ…付き合うって言うのはいいけど。》《どういうこと？》