幸せの触り方
プルルルル…プルルルルルルル♪


画面に【着信 ショウ】の文字。
震える手を押さえながら通話ボタンを押した。

「…もしもし?」


「もしもぉし!俺!」


「知ってるょ。ショウって画面に出てるし…」
中々、本題に入れずにいた。

するとショウが、
「さっきの話、本当だよ。信じてくれる?」

私の目から自然と涙がこぼれ落ちた。
涙に気付かれないように、
「ノリコが居るくせにッ!」

するとショウは
「ノリコと別れる事はできないんだ…」

素直に女の子らしく
なんでょー!って怒ったり出来ればいいのに、
言葉を失う事しか出来なかった。

ショウは
「近いうち会おうよ。いつ暇?」


「ぁたしはショウに合わせるょ。」

「じゃぁ、俺3日吹奏楽部の部活あるから、その後会おう。」


「わかった。何時に何処いけばいい?」


「3時にお前の小学校の前で待ち合わせは?」


「いいょ。」


「俺ら“しんゆう”だな」

しんゆう…親友…。
やっぱり、そぅなんだ。
私の目にはまた涙が浮かんだ。


「しんゆうって親しい友じゃないよ。心の友な。」


「心友?ロマンチストだね。」





この時、ショウの特別な存在になれたんだと思った。

普通に考えたら心友は心の友達、
結局、友達。

でもただの友達ではなぃと思えただけで嬉しかった。
今までのどの瞬間よりも
【幸せ】を感じていた。

この時は、今が一番幸せだと思って疑わなかった。


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