幸せの触り方
ふたりの時間
「ごめん予定あるから先帰る」
私が沈黙を破った。

ショウの連絡を待った。
すきだから、信じてまった。





『4月10日 ショウ
題名
 無題
内容
 さっきの映画館まで来て!ついたら教えてな。』





ショウからのメール。
待ってたメール。
やっと会える。2人で会える。

私は急いで戻ってショウに連絡した。

『4月10日
題名
 ついたー 
内容
 ショウーついたょー』



高鳴る鼓動を押さえる様に携帯を強く握った。


ショウと2人っきりで会うなんてドタキャンされてから無いと思ってた。
ショウが私を見てくれるなんて、すきって言ってくれてるなんて……

ショウの隣を歩けるなんて、そんな幸せはない。





ショウの姿が見えた。

「ショウ!!」
私が呼ぶとショウが気付いて近づいた。

すると、ショウと違う方向からショウと同じタイミングで、
「麗奈」
と呼ぶ声。…ユウイチだ。

ユウイチを見て、まずショウの気持ちを考えた。
私はショウがユウイチに事情を説明してくれると思った。
すると、ショウに気付いたユウイチが

「えっ、2人ってそぅいう関係?」


ショウ
「違うよ。帰るだけだし。たまたまだよ」

ショウの言葉に胸が痛くなった。

恥ずかしいから、とかそんな言い方ではなかった。
あれは確実に無関係である事をショウはユウイチに伝えたかったんだ……
それは、ノリコと付き合っている立場からなのか、

それとも…………



私といる事を恥と感じているからか……………
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