幸せの触り方
「公園行こう」
ショウが言った。

「ぅん。わかった」
そう答えた。
隣を歩きたいのに1歩後ろを歩いてしまう。
今の私はショウを好きな気持ちまで少し後ろにいる。

小学校の裏の道を入って、私の知らない公園にショウは入った。

ベンチに座り話をした。
「こんなとこに公園あったんだね。私知らなかったょ。」


「そこに友達んちあるからさ。」
そう言いながらショウは友達の家を指差した。

「そっか。」
私は何を話したらいいかわからなかった。
緊張しているし、
“たまたま”が気になるから…………

2人の間に沈黙が流れた。



ショウが沈黙をやぶった。
「麗奈んち行きたいな。」



私の家は両親が厳しく、
男子禁制
カラオケ禁止
外泊禁止
そんな家。
カラオケは親に内緒で行けても、さすがにショウを家に入れる事はできなかった。

「近くまでくるのは良いけど、家は無理だょ。」



するとショウは
「いいょ。ぢゃぁ近くまで行こう」
そう言った。


公園から家までは5分程度の道のり。
ショウの気持ちがわからなくて、ショウの気持ちが知りたくて……
でもね、今の時間を大事にしたくて…
変な事言って嫌われてしまったら…
そんなのイヤだから…


5分…私は何も話せなかった…。
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