今も、強がりな君が大好きです
「お前、なんかいつもと違う?」

オリバーに訊かれ、奏は「せっかくのデートだもん!クレアにアドバイスしてもらったんだ」とニコリと笑う。

「べ、別に普通だからな!マネキンが着てた方がいいぞ!!」

ツンツンしていても、オリバーの顔は真っ赤で奏を見つめ続けている。奏はぐっとクスクス笑って、「let's go(行こう)」と言う。

こうして、二人のデートが始まった。



動物園は多くの人で賑わっている。奏はここの動物園に来るのは初めてで、辺りをキョロキョロと見回していた。

「おい、絶対にはぐれんなよ!はぐれたらめんどくせぇからな」

前を歩くオリバーは、ツンツンしながらも奏のことを気にしてくれている。そんな不器用な優しさに、久しぶりに奏の胸が音を立てた。

動物園では、人気のコアラが抱っこできる。可愛らしいその姿に奏は目を輝かせる。

「可愛い……」

日本語で呟くと、「それって英語だとどういう意味なんだよ?べ、別に特別知りたいわけじゃねえけど!」とオリバーが言った。
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