今も、強がりな君が大好きです

「Hello！（こんにちは！）I'm Kanade Nakaseko.（私は中瀬古奏です）I'm from Japan.（日本出身です）nice to meet you（よろしくお願いします）」

奏が教室で挨拶をすると、青やヘーゼルの目が一斉に奏を見つめる。日本人にはない目の色に、奏はやはりここは遠い異国の地なのだと実感する。

ここは日本人学校ではない。そのため、教室のほとんどはオーストラリア人だ。

興味津々といった様子で話しかけてくる生徒も少なくない。奏は笑顔を見せ、一生懸命コミュニケーションを取る。英会話をずっと習ってきたので、同世代の日本人よりは話せるだろう。

しかし、頭の中で英語を日本語に翻訳し、日本語を英語に翻訳して話すという作業に奏は疲れてしまった。

昼休み、奏は教室を離れて校舎裏で一人でぼんやりと空を見上げていた。こっちではお昼だが、日本では何時だろう。奏はそんなことを考え、ため息をつく。