今も、強がりな君が大好きです
クレアが奏の後ろから走ってきて声をかける。奏も挨拶を返した。

「Today we have a song test in a music class(今日は音楽の授業で歌のテストがあるね)」

クレアがそう言い、奏は「Really nervous!(とても緊張する!)」とドキドキする胸を押さえる。

今日の歌のテストは、ペアを作って行う。ペアで歌を自由に選び、みんなの前で歌うのだ。

奏はクレアとペアを組み練習をしてきた。ボカロのシャルルを歌う。英語ではなく日本語で歌う。

クレアは日本のアニメやボーカロイドが好きで、高校二年生の時に日本に二ヶ月留学した。そのため日本語がかなり話せる。

「オリバーは彼女と歌うのよね」

奏はポツリと言った。クレアが辛そうな目で奏を見つめる。

本当はきっと、この胸は痛みを訴えているのかもしれない。それを奏はずっと無視している。

だからこそ、悲しい気持ちを吹き飛ばそうと別れの歌をクレアと選んだのだ。
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