今も、強がりな君が大好きです
奏はグッと唇を噛み締める。後ろの方に耳を集中させれば、オリバーの声が聞こえてくる。

奏とクレアは早足で歩いた。



「それじゃあテストを始めるよ〜」

音楽の先生がそう言い、みんなの顔に緊張や楽しみなど様々な感情が入り混じる。

最初に歌ったのは、オリバーと彼女だった。熱い恋の歌を歌い、カップルが歌っていることもあって音楽室は盛り上がる。

「カナデ、大丈夫デスカ?」

クレアが日本語で訊ねる。奏は笑顔を作り、頷いた。オリバーは何度も「I love you(愛してる)」と繰り返す。ラブソングなのだから当たり前だ。

クラスメートはオリバーと彼女の歌声にドキドキしているようで、頰を赤く染めている。

二人が歌い終わると、盛大な拍手が二人を包んだ。奏も微笑み、拍手を送る。

「thank you!(ありがとう!)」

オリバーの彼女が微笑み、手を振る。オリバーは顔を赤くし、恥ずかしそうにしながら席へと戻っていった。
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