【完】昔の話
私は魔族
魔力を取り込み始め、数えで15年経った。
私は魔力を取り込むことは出来なくなった。
これが限界なのだろう。
私は大きく、強くなった。
私より大きい者も、
私を見るなり頭を下げていた。
私はこの頃にはもう自分の事を全て理解していた。
私は魔族。
魔族は魔力溜りに産まれることがあり、
その個の強さは産まれた時点で決まっている。
けれどどこまで強くなるのかは、
限界に達しないとわからない。
私は、魔族の中でも高位の魔族だ。
先日魔王を継承する事を勧められるくらいには。
だが、私は断り続けている。
魔王になれば、守るどころか傷つけてしまう。
私は継承を強いてくる魔王を鬱陶しく思い、
各地を転々と旅した。