Blue[短編]
私がそう聞くと、悟は驚いたような顔をして、また笑った。
「好きな子が幸せなら良いの」
「そっか…」
多分、私もそう。
だけどね、悟。
あんた全然幸せそうじゃ無いんだよ?
「裕子はさ」
「うん?」
「好きな人とか居ないわけ?」
好きなのは―――…
「いるわけないじゃん!」
あんただよ、悟。
「だよな!お前が恋とかキモいし」
「失礼ね!あんたが恋してる方がよっぽどキモい!」
あんたがそんなだから
私、言えないんだよ?
悟が好きだって…
「裕子、家ついた」
「あ、うん。また明日」
「おーじゃぁな」
私はそう言って歩いていく悟の背中を見つめていた。
私じゃ…
「ダメかなぁ…」
届くことない想いは、風に流された。
「さむっ…」
軽く身震いし、ため息をつくと家のドアをあけた。