RYTHME
「愛は、『どんな人にでも幸せを思い出してほしい。例え、その歌声を聴いているほんの少しの時間でも、忘れている何かに気付いてほしい』……そう思って歌っているのです」
幸せを、思い出す……。
「別に、そこまでじゃない。なんにも気付かないで、なんにも感じないで過ごしてる……そんなバカに、ただ気付いてほしいだけ」
……愛って意外と、そういう考えを持ってる奴だったのか。
優しい心の、持ち主なんだ。
「水城」
「ん?」
「俺は幸せ、感じられたよ。歌声聴いたとき、すごく感動した。感動するって、心が動くって、幸せだってことだろ?」
この気持ちに、偽りはない。
それに、水城が人に幸せを与えたいって思う気持ちを、大事にしたい。
「ありがと」
彼女の冷たい言い方は、変わらない。
でも、微笑んだ顔のせいか、今は優しく聞こえた。